カムバック・ハム・ハンドブック
三章 色々な楽しみ方   
掲載:2007年6月9日
- 百人百様の楽しみ方があります - 最終更新:2013年11月17日

携帯電話、インターネット等の通信手段が普及したのに、「今でもアマチュア無線をしている人がいるの?」とよく聞かれます。でも、昔もそうであったように、アマチュア無線の楽しみは百人百様に皆さん思い思いの楽しみ方をされていますよ。未だに「King of Hobby」は健在です。
この章では、アマチュア無線の楽しみ方について、今昔を比較しながら、1970年代には無かったものもご紹介していきます。
無線界の変化の中には、戸惑いや、受け入れがたいものもあると思いますが、取捨選択をされて、ご自身なりの楽しみ方をイメージしてみてくださいね。


3-1 昔ながらの楽しみ方とその変化
まずは、昔からあった代表的な楽しみ方と、それらが今はどう変化しているかをご紹介します。

QSL収集
アワード
昔もありましたね。全国の市と交信しQSLを集めるJCCが有名でした。今でもJCCアワードは健在ですし、新市誕生の時には記念移動運用も盛んに行われています。7MHz SSBは今でも混雑しています。
<変化>JCC以外にも、道の駅鉄道の駅日本の川(源流と河口)、湯けむり(温泉地)、湖沼ふるさと富士といったようなたくさんのアワードが誕生しています。QRTせずに長く続けておられJCCもWACA(全市交信)も達成された方も増えてきたので、新たな交信の目標となっています。7MHzあたりでは道の駅が大ブームで、毎日のように移動して運用されるかたもおられます。
また、インタネットを活用したどの周波数でどこが出ているかがリアルタイムにわかる投稿型のホームページも出来ていて、アワードハンターに活用されています。(これは邪道と言われるOMもおられますが・・・)
モービルハム 全盛期ほどではありませんが、通勤時や長距離ドライブでモービルをされている方は結構おられます。144MHz、430MHzが主ですが、どちらが多いかは地域差があるようです。今でもチャンネルの取り合いもありますよ。また、最近バイクモービルに特化したトランシーバーが発売されてブーム再来の兆しがあります。
<変化> コントロール部がセパレートになっていて、最近の車にも取り付けが容易になっています。写真付きで紹介している車への取り付け例初心者のためのモービルへの取り付け方法が参考になります。
山上のレピーター局も多く設置され、それを利用して長距離間でも交信されている方もおられます。さらに、後述のVoIPを利用したら、V、Uのモービルからでも、全国、全世界と交信もできるようになりつつあります。
ラグチュー派 いつの世でも、夜な夜なの長話を楽しむ方はおられますね。周波数帯もまちまちですが、自然発生的に話し仲間が集まってQSOされています。なかには、回顧的に3.5MHz、7MHz、28MHz、50MHzで「AM」にこだわっておられるグループもおられます。
<変化>新たに、VoIPを利用したラグチューも盛んで、特定の興味をもった人が集まる「ルーム」を作って、コンディションに影響されずに全国の仲間とQSOを楽しまれています。条件が合えばハンディー機で世界中とラグチューなんてことも可能になってきています。
コンテスト 今でも、オールJAやフィールドデーといったJARL主催のコンテストはありますし、クラブ対抗もやっています。また、お年賀挨拶のニューイヤーパーティーもあって、参加したら干支のステッカーがもらえます。
ローカルコンテストも盛んで、コンテストの時しか出ない局長さんも結構おられますよ。
移動運用
昔に比べて移動運用がお手軽になり、HF、V・UHFとも盛んです。
コンテスト時の移動運用も盛んですし、JCCや道の駅といったアワードで人気のある所への移動も日々行われ、パイルアップを浴びる「快感」を楽しまれています。

移動運用に適したリグやアンテナ、発々も手軽な価格で買えるようになり、バッテリーで運用されている方もおられます。

また、住宅事情でご自宅からは思う存分にQRVできないので移動運用で羽を伸ばされている局長さんもおられます。
DX派
太陽の黒点の関係で、これからDXのコンディションが上がってきます。海外のDXペディションも盛んで、それらの情報が即時にインターネットで流れるようになっています。
DXCCアワードも健在でして、新エンティティーを狙ってQRVされておられます。
また、各国のDXのコンテストも盛んです。
<変化>インタネットを活用したどの周波数で誰が出ているかがリアルタイムにわかる投稿型のホームページも出来ていて、「一にウォッチ、二にウォッチ」の時代は過ぎ去った感があります。(これも賛否両論がありますが・・・)
CW(電信)
モールス信号はもはやアマチュア無線にしか残っていません。この長点、短点の組み合わせでの交信にロマンを感じて今でもアクティブな局が多いですし、CW愛好家のクラブもあります。
<変化>昔のように電信で長くQSOできる方も少なくなってきて、ペディションタイプのショートQSOが主流になっています。
また、パソコンの普及によってパソコンを使用したキーイングが普及してきて、中には電鍵を全く使わないかたもおられるほどです。(これには、賛否両論がありますが・・・)
そういう中でも、7.020〜7.030MHzに今でも和文でロングQSOされておられ方々がおられ敬服します。

また、再開局を機に電信に挑戦されたり、初心者はQRS(ゆっくりと通信)で楽しんでおられる方も多くおられます。
自作派
パーツ屋さん、ジャンク屋さんも少なくなりましたね。でも、自作を楽しまれているOM諸氏も健在ですよ。パーツはネット通販でも手に入るようになっていますし、オークションで中古の測定機器や、レアなパーツは引っ張りだこになっています。地域によってはジャンク市も健在です。また、無線機のキットも販売されてます。
ロールコール 昔にもありましたね。各地でロールコールが行われています。会員制のものもあれば、だれでも参加できるものもあります。普段はあまりOn Airされなくても、定期的なロールコールにはご挨拶がてらに(生存確認も兼ねて?失礼!)参加される方々もおられます。
アイボール
ミーティング
上のロールコールとも関連しますが、各地でアイボールミーティングがあって、顔を合わすことも楽しみのひとつですね。
<変化>JARLの支部が都道府県単位(昔はエリア単位だったと思います)になっていて、支部大会や各種イベントも行われています。
昔に比べてお若い方が減ってきているのが残念ですが・・・


3-2 昔にはなかった楽しみ方
中にはちょっと戸惑われるものもあるかと思いますが、昔にはなかった比較的新しい楽しみ方をご紹介します。

VoIP いきなり、わかりにくいものですみません。
わかりやすく言うと、インターネットが介在したレピーターを介して、ハンディー機やモービルからでも世界中と交信ができる仕組みです。
そのレピーターみたいなものを開設してローカル局に提供するオーナー局と、それを利用させてもらうユーザー局に別れます。
オーナー局はインタネット、パソコンと無線機、アンテナを設定し、それらの周波数やアクセス方法の情報を公開します。全国各地(海外も)のオーナー局同士はインターネットで接続されていますので、交信可能範囲は広がります。
ユーザー局は、ローカルのオーナー局に向かって送信して交信しますが、相手は全国各地オーナー局の電波が届く範囲になります。したがって、例えば、ハンディー機であっても電波が届く範囲にオーナー局があれば、全国・全世界のオーナー局近傍の各局と交信できるという仕組みです。
(カムバックの方、少しややこしいけどわかりましたでしょうか? 現役の局長さん、上の説明は正確ではないとは思いますが、カムバックの方へのもっとわかりやすい説明方法があったらアドバイスをお願いします。)
VoIPには、以下の4種類があって、それぞれに特長があります。詳しくは、各々のリンク先をご参照ください。
(最初にJG3EBB局のページのイメージ図をご覧いただくとわかりやすいと思います。)
VoIP全般の説明: JG3EBB局のページ Link Systems of Japan
WiRES II D-STAR EchoLink
公式ページ(八重洲無線) 公式ページ(JARL) 公式ページ(英語)
比較的わかりやすい説明 比較的わかりやすい説明  
アパマン・ハム 昔にもあったかも知れませんが、住宅環境の変化によりたくさんのアパマン・ハムの方がおられます。
自宅がアパマン(アパートやマンション)でアンテナをあげるのに制限があって、その制限内でなんとかベランダにアンテナを工夫して設置・調整しQRVされている方々ハムです。(アパマンハムスタイル集が参照になります)

アースが思うように取れない、SWRが下がらない、管理組合からクレームが出ないように といった事を解決するといった「楽しみ」かたです。

(こういう説明をすると、アパマンハムの方々からお叱りを受けるかもしれません。それは「楽しみ」ではなく「苦しみ」だと。気を悪くされた方にはごめんなさい。)
QRP 送信出力を下げての交信を楽しむ事です。昔にもありましたが、盛んになっています。5W以下がQRPと言われていますが、0.5W程度の送信機を自作されてトライされている方もおられます。
JARL QRPクラブもありアワードやコンテスも行われています。
海外遠征 昔は夢のような話でしたが、今では、お手軽に海外遠征される方も多いです。海外との相互運用協定で、現地免許も取りやすくなりましたし、グァム、サイパン、パラオ等には、レンタルシャックといって、アンテナやリグを備えた宿泊設備も利用できます。
(本格的に珍エンティティーへ行くDXペディションも、今でも行われています。)
現地での運用範囲は原則日本での局免許範囲-αですが、後述のアメリカFCC免許のエクストラ級を取得すると、米国領土では1.5KWの運用が出来ます。
ARDF 昔、フォックスハンティングをされた方も多いと思います。今でも、時々やっています。
ARDFとは、わかりやすく言うとフォックスハンティングが発展してスポーツ競技の一種になったもので、世界大会も行われています。選手には電波・無線の技術と体力が要求されます。
このページをご覧の方には、選手になることはお勧めできませんが、若い選手への指導者としてはいかがですか?
ARRIS
スクールコンタクト
小中学生に宇宙飛行士との交信を経験してもらおうという取り組みです。特例でこの場合に限り、一定の条件下で、小中学生は無線従事者免許が無くても送信OKとなっています。
一般的な設備は5〜12エレの145MHz帯クロス八木+50W機+仰角ローテーター+普通のローテーター+パソコンですが、ちょっと聞くだけならハンディー機でも可能です。
最低でも3段GP+50W機で、あまり遜色なしで交信できます。
資格取得 二章でも記しました様に、3アマは「第3級短縮コース」の講習会もあり取得がしやすくなっています。
また、2アマ、1アマも昔に比べたら敷居が低くなりましたので、国家試験で上級資格にチャレンジされる方が増えています。
昔取った杵柄ではないですが、その復習を兼ねて受験される方もおられます。

さらに、アメリカのFCC免許が日本でも受験できますので、上述の「海外遠征」ブームとも絡んで、英語がお出来になる方はチャレンジされてはいかがでしょうか。
レストア派 自作派とは、ちょっと違って、昔の真空管式の無線機をピカピカに整備することを楽しまれている方々です。無線機や、部品は、オークションで手に入れて、ネジ一本に至るまでオリジナルにこだわられている方もおられます。
裏を返せば、もし古い無線機を持っておられるのなら欲しがっている方がたくさんおられるということです。9R59や、TX-88といった往年の名機は不動品でも、びっくりするような高値でオークションで取引されています。
コレクション これは、再開局してカムバックハムにならなくても出来る事ですが・・・こういう趣味もあります。
無線に関連した切手、昔のリグ、新旧の電鍵、CQ誌のバックナンバー、昔のリグのカタログ・・・これらのコレクションです。
これも、裏を返せば、こういうものをお持ちの方は、欲しがっている方がおられるということです。
ホームページ
ブログ
SNS
私がしていることもそうですね。
アマチュア無線で経験したことや、各局に便利な情報等をホームページやブログに綴っておられる方がたくさんおられます。
また、アマチュア無線ネタのツイッターやFacebookも盛んです。
その他、まだまだたくさんあります。PSKや最近ではJT65といったデジタル通信、アマチュアテレビ通信、SHFでの伝播実験、EME(月面反射)通信、ソフトウェアラジオ(Software-defined radio)、パソコンソフトや周辺機器開発などなど・・・
まさに、百人百様ですね。


3-3 周波数帯別の状況と楽しみ方
切り口を変えて、色々な楽しみ方を各バンド毎にご紹介したいと思います。

<すみません。以下は未だ工事中です。ぼちぼち掲載していきます>
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